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お知らせ

2021.01.19

島に来て驚いたのは「今日の晩ご飯どうするの?」って聞かれることです【わたし、島で働く。】

「大人の島留学」は、島での仕事を中心としたお試し体験移住制度です。
現在、「大人の島留学では具体的にどのような仕事があるの?」というお問い合わせをたくさんいただいております。そこで、大人の島留学編集部が実際に仕事現場に行き、仕事の様子や仕事への思いをインタビューしてきました。多種多様な大人の島留学生の仕事をご紹介する企画『わたし、島で働く。』をお届けします。

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みなさん、こんにちは。大人の島留学編集部です!
今回は、海士町役場地産地商課に所属し、海士町の玄関口菱浦港にあるキンキャモニャセンター内しゃん山で働く、藤原麻希さんにお話をお伺いしました。
実家が兼業農家であり、現在、将来家業を継ぐことも視野に入れたキャリアを描いている藤原さん。今のお仕事をするに至るきっかけや、加工や販売現場での仕事を通して得た気づき・学びについてたっぷり聞いてきました。

 

1.藤原さんとお仕事

 

 

 まず、藤原さんのお仕事について紹介します。
藤原さんは、キンニャモニャセンター内しゃん山にて働いています。仕事内容は、大きく分けて2つです。

 

 1つは、しゃん山にて、接客、品出しを行いながら店舗の魅力化に取り組んでいます。例えば、POP(値段表)を統一したり、店内BGMを取り入れたり、店舗の場所が目立つように新たに看板を出したり、SNSでの宣伝広報も行います。
 

 

そして、もう1つは、島カンペの加工です。カンペとは、干し芋のことを指します。海士町産のシルクスイートを1日70〜90kg、2人〜4人体制で加工しています。芋を洗い、蒸して、カット、その後干して、袋詰めまでの一連の作業を行っています。
 島カンペの作業は、月、火、木、金の週4日。カンペの作業時間以外は、しゃん山の店舗に立って接客や品出しを行っています。

 

 

 

※しゃん山・・・海士町役場地産地消課が運営する、海士町の旬の野菜や加工品、お土産品を取り扱うお店。島で取れた野菜以外にもCAS商品やお弁当、パンなど海士町中から様々な品が集まっている。

キンニャモニャセンター別棟1階。

 

お話を聞いた人:藤原麻希(ふじわらまき)さん
大学3年生(取材当時)。岡山県出身。高校卒業後、高知大学地域協働学部に進学。大学の授業を受けながら、2020年12月から大人の島留学生として島根県隠岐郡海士町での移住体験をスタート。

2.インタビュー① ここは意見や思いを伝えやすい

 

ーまずはじめに、大人の島留学をしようと思ったきっかけは何ですか?


藤原:大学で出会った島前高校出身の友人から、「10月から『大人の島留学』に行ってくる」と聞いたのが始まりでした。彼女から、大人の島留学の内容を聞いて面白そうだなと感じたので、まず、役場の担当職員さんに話を聞いてみました。その1ヶ月後の11月に見学も兼ねて初来島、そして12月に大人の島留学を始めることになりました。
 元々は、実家が農家ということもあり仕事をする中で農業に関われたらいいなと思っていました。でも、私は、ガッツリ農業をやるというよりかは、農業を経済的にお金を稼ぐものとして捉えたいと思っていて、特に6次産業化に興味がありました。そこで、仕事を決める際に、かんぺの加工の現場が見れたり、しゃん山の営業も行っている地産地商課がマッチするとの話になりました。確かに、カンペ作業を通して加工から販売までの流れが見れますし、生産者が野菜を持ってきて販売するという流れを見れるのはしゃん山だということになり、お世話になることになりました。

 

 

ーご実家が農家ということですが、何を作っているんですか?


藤原:ぶどうと桃とお米を作っています。家業を継がなきゃいけないなという気持ちもありますが、兼業農家ですし、農作物を生産して市場に出荷しているだけだとプラマイゼロならボチボチいいかなという程度で、多少プラスはあるんですけど、それで暮らしていくとなったらかなり厳しい面もあります。私は、「ちゃんと稼げる農業を考えたい」と高校生の頃からずっと思っていたので、しゃん山で働くことをきっかけにいろいろ学びたいという思いはありました。

 

ー実際に、1ヶ月(取材当時)働いてみて、どのような気づきがありましたか?


藤原:この前、初めて畑の巡回について行かせてもらいました。畑の巡回というのは、しゃん山に出荷している農家さんの畑の状況を見にいくことです。先日の大寒波の積雪の被害状況と給食センターに持っていく野菜をどれくらいのペースで出荷できそうかを確認する作業でした。


 その時に感じたのは、農業の過酷さ、どうしても天候に左右されてしまう苦悩はどこの地域に行っても変わらないということです。店舗に立っているときは、出荷される野菜も多くて、農家さんが苦しくならない良い値段設定だと思っていたのですが、実際に畑に行きお話を伺ったり、悪天候に見舞われ野菜の出荷が無い日を経験すると農業の厳しさを思い知らされました。


 最初働き始めた頃は、しゃん山に出荷されるたくさんの農産品を見て「もしかして海士町って農業だけでも生きていける場所なのかな」って思っていたんですけど、抱える課題は地域に関係なく同じである事に気付きました。
 また一方で、地元と違うなと思ったことがあります。それは、農家さんが抱える問題を農家さんだけではなく、役場職員さんも一緒に問題意識を共通して持っているところです。農家だけで問題を考えるとなると、若い人も比較的少なく、打開策を考えるのも限界があるし、体力の限界もあり、息詰まることもあるのではないかと思っています。しかし、今の職場には、農家さんに改善策を考えて提案する人もいます。そこから、農家さんの問題を一緒に考える相手になる、そういう存在がいるのは良いなと思いました。


 そこから、直接関係のない人も考え、相手に意見を伝えていくのは大事だと学びました。知らないから何も言えないではなくて、知識がないからこそ出てくる案とか視点があると思っています。その点で言うと地元の環境よりも海士町の方が、専門外でも自分の意見や思いを伝えやすいなと感じています。

 

 

3.インタビュー② 島の暮らしで多くの発見が!

 

ーここからは、藤原さんの仕事に対する思いについてお伺いします。藤原さんのお仕事をする上でのモチベーションはなんですか?


藤原:自分が作ったものを買っていただく瞬間を見ることができるのが、私のモチベーションになっています。島カンペの加工作業の後に、しゃん山に出ることで、自分が作ったものを買っていただく瞬間を見ることができます。「これおいしいよね」って言っていただけると明日も加工がんばろうって思えるし、自分の作ったものを買っていく人を見ることができるのが、大きなモチベーションになっています。

 

ー加工と販売の部分に携わっていることで、6次産業化に通ずるところを感じますね。藤原さん自身は、島に来て仕事をする中で変化したことはありますか?


藤原:「自分からやってみよう」と思うことが増えました。しゃん山は販売したいものがあったら誰でも持ってきていいそうで、自分の売りたい価格でも販売できるし、規定の価格でも販売できるそうです。港のすぐ近く、誰の目にも留まるところに、売りたいものを誰でも持ってきていい場所があるというのがいいなと思います。そんな環境に触発されて、私も自分がやりたいなとか、やった方がいいなということを行動に起こすようになりました。

 

 

ーやってみたいと思ったことをすぐ行動に移せる環境があるというのは島の魅力の一つですね。藤原さんが以前いたのは高知でしたよね?


藤原:大学では、地域協働学部で6次産業化について学んでいます。高知県内の中山間地域に行く実習と座学の2つの反復で学びを深めるカリキュラムなのですが、新型コロナウイルスの感染防止のため実習地に行くことができなくなってしまいました。

 

ーコロナの影響を見て、環境を変えたいというのも島に来るきっかけになりましたか?


藤原:はい、そうですね。コロナじゃなかったらここに来てないってくらいの勢いです。実習もなくなって、授業も全部オンラインという中で、アルバイト以外で高知にいる意味がないなと思うようになりました。

 

ーそこで実際に環境を変えてみて、今はどうでしょうか。「島で」の仕事や暮らしはどうですか?


藤原:「島みんなで生きるために働いている」と感じました。極端にいうと島民みんなを死なせないためにみんなが働いている、仕事があるんだなと思いました。島に来た当初、正直、物価が高いなという印象がありました。しかし、商店の方はお店にあるものの利益で生きていなかいと行けないし、船代も高いという口コミもネットで見ましたが、それは働いている人とその家族が生きていく、死なないようにするための値段であることに気づき、暮らしてみたらそんなに高いと思わなくなりました。

 例えば、本土にいたら使っていたはずのお金がここだとほとんど食費や燃料代になります。余計なお金を使わない分、ご飯にお金をかけれて充実しますし、余計なものをカットしてここで生きているという実感があります。ご飯も本質的に考えたら生きていくために食べるものですしね。


 高知にいた大学時代は、夜遅くに寝て夕方くらいに起きてバイトに行くといったTHE大学生みたいな生活をしていましたが、生活は乱れ、免疫も落ちたし、体も壊したりしてました。今は、朝起きて夜も寝て、ちゃんとお皿も洗って…人間の生活ができています(笑)


 島に来てから、よく「今日の夜ご飯はどうするの?」と聞かれます。今まで、何を食べるのか、何を作るのかについて人と話すことはなかったので、この会話がとても印象に残っています。

 

4.おわりに

 

 今回は、6次産業化に関心を持ちながら、農産物販売所や加工現場で実践経験を積み重ねている藤原さんにお話を伺いました。島の食を支える仕事場だからこその視点で、仕事の枠を超えて暮らしへの気づきを語っていただきました。


藤原さん、貴重なお時間と素敵なお話をいただきありがとうございました!

 

 

 

 

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