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2021.01.12

地域通貨への探究心で島に来ました【わたし、島で働く。】

新年明けましておめでとうございます。
本年も大人の島留学編集部をよろしくお願い申し上げます。
新年明けまして、新企画!今回から本格的に大人の島留学生の仕事や仕事に対する思いを紹介するお仕事インタビューをお届けします。
今回は、刑部湖香さんにインタビューしました。

 

1.刑部さんと彼女の仕事内容

 

 まず、刑部さんと刑部さんの仕事内容について紹介します。
刑部さんは、地域通貨「HEARN(ハーン)」の活用に携わっています。ハーンとは、海士町独自の地域通貨です(下画像:刑部さん提供)。刑部さんは、地域通貨の事例調査や町民へのアンケート調査と分析などを通して、ハーンの活用可能性を日々探っています。

 

 

お話を聞いた人:刑部湖香(ぎょうぶ このか)さん
大学3年生(取材当時)。兵庫県出身。隠岐島前高校へ島留学。高校卒業後、大学(地域創生学群)に進学。2020年10月からオンライン授業を受けながら、大人の島留学生として島根県隠岐郡海士町での移住体験をスタート

 

2.インタビュー① 好奇心と探究心で島に来ました

 

ーまず、大人の島留学をしようと思ったきっかけは何ですか?
刑部:「大人の実践ゼミ」(※)の0期に参加していて、その時のテーマが「地域通貨」でした。自分が卒業論文を書くときには、地域通貨をとりあげたいという思いがあったので、その思いを話したところ、「実践の場として海士町でやりなよ」と役場職員さんから声をかけていただいたのがきっかけです。

(※)大人の実践ゼミ・・・隠岐国学習センターと家督会青年部(隠岐島前高校の卒業生会)が協働して、「will(想い)と実践を大事にする」というコンセプトで、卒業生が自分を磨いていく場、自身の「悩み」や「やりたいこと」を対話と実践を通して解決、または実現していく場。(引用元:隠岐国学習センター「大人の実践ゼミ」 1期生募集

 

ー「地域通貨」がきっかけなんですね。刑部さんはなぜ地域通貨に魅力を感じているのですか?
刑部:私が高校生の時、地域通貨に関する講演会に参加しました。その講演会の中で紹介された事例に「ありがとうの気持ちを含んだ地域通貨」というのがありました。地域通貨は、現金ほど重くない、言葉ほど軽くない気持ちが伝わるということでした。この事例を知ったときに、地域通貨は工夫することでいろんな価値付けができるんじゃないかと思ったのが地域通貨に関心を持ったきっかけです。

 

ーその思いと今の仕事はどのように結びつきましたか?
刑部:大人の実践ゼミでのお話を通して、自分の思いを役場職員さんに知ってもらいました。その後、私のやりたいこととマッチするとのことで、地域通貨ハーンの活用に関わる仕事に決まりました。卒業研究を執筆する上での実践の場と捉えて、働いています。

 

ーそこで良い出会いがあり、今の仕事が決まったんですね。刑部さんは、どのような仕事を行っていますか?
刑部:ざっくり言うと、商工会、役場、別のインターン先(刑部さんはオンラインインターンで別企業のインターン生でもあります)の方からのアドバイスを受けながら地域通貨の活用方法を模索しています。始めの頃は、日本の地域通貨の事例をひたすら調べ、知識を得ることからスタートしました。後に、約80人(海士町民、島内事業者など)の方を対象にした地域通貨についてのアンケートを踏まえた分析も行っています。日々、難しいと感じながらも業務に取り組んでいます。

 

 

ーなるほど…たくさん頭を使いそうです。特にどこが難しいと感じましたか?
刑部:まず、データ分析もやったことがなかったので難しかったです。ですが、それ以上にヒアリングするときに、人の本音を聞き出すことが難しかったです。お話をお聞きする人は、私とは初対面で、しかも私は「若者」ですし、「応援しているよ」と気を遣っていただいたんじゃないかと思うこともありました。しかし、島の居酒屋さんでアルバイトをする中で、地域通貨に対する本音を聞けたりすることもありました。そのような中で、調査するまでの関係性作りが必要だと気づくことができました。

 

ー関係性作りは大切ですね。そのような難しい中でも刑部さんのモチベーションになっていることってなんでしょうか?
刑部:地域通貨を何がなんでも普及させたいというよりかは、地域通貨の謎を解き明かしたいという思いが強いです。地域通貨には可能性があると思っていますが、今は、それを明確に言葉にできないです。でも、そのモヤモヤみたいなものを自分が言語化したい、わかりたいという気持ちが強く、それがモチベーションになっています。地域通貨を通して、地域内で経済が循環する、コミュニティーが活性化すると言われていますが、それって2つ同時に両立するものなのか、成功事例が少ない中で、何が失敗の原因なんだろうと考えています。さらに、地域通貨に関わり始めてから、わからないこと増えたしもっと勉強していきたいと思っています。

 

3.インタビュー② ワクワクするのは多様な人との協働

 

ーここからは、刑部さんの仕事に対する思いについてお伺いしたいと思います。刑部さんは、卒業研究の実践の場として海士町で活動をしているわけですが、大学ではどのような活動をされてきましたか?
刑部:大学では、ゲーミフィケーション(※)を専門にされている先生のゼミに所属しています。ゼミの活動の中で、理系の学生と一緒にアプリを作成しました。そのゼミで、自分と全然違う価値観や考え方を持っている理系の人たちと活動するのが楽しいなと思いました。それがきっかけで、普段自分がいるコミュニティ以外の人との協働をしたいと思うようになりました。

(※)ゲーミフィケーション・・・遊びや競争など、人を楽しませて熱中させるゲームの要素や考え方を、ゲーム以外の分野でユーザーとのコミュニケーションに応用していこうという取り組み(引用元:SMMlab「ゲーミフィケーション」とは?~今さら人に聞けないマーケティング用語をおさらい!

 

ー実際に島に来て、大人の島留学をする中で、自分と異なる人との協働はありますか?
刑部:はい、特に仕事をしていて思います。

 

ー特にどういうときにそれを感じますか?
刑部:持ってるものが違いすぎるなと思う瞬間です。職場で、技術系の話をされてもわからない時や、島のお店事情に詳しい先輩とお話をしている時です。でも、意味がわからないと思ったことでも、一緒にやったら何か生まれるかもと思っています。例えば、同じ学部のみんなとの協働と、今、島の仕事で接している方と一緒に協働するのは全然違います。同じ学部の人だと、考えていることも似ていたり、知識も似たり寄ったりだけど、今、仕事で関わっている方は、自分と知識も経験も全然違うから、その分難しくもあり楽しい部分だなと思っています。

 

 

ーそれは、島に来て実践する意味がありますね。
刑部:はい!今の経験が自分の将来にも繋がるかなと思っています。

 

ー地域通貨の実践というだけでなく、島の仕事を通して、人との関わりにも大切にされているなと感じました。刑部さんは、体験移住を通して、「島で」働くことについてどのような気持ちでいますか?
刑部:応援してくれる方がいっぱいいるから、頑張りたいなと思います。自分が知っている人たちから応援の声をもらうと、引き締まる気持ちになります。島は、行動したら成果がすぐ返ってくるとか言いたいけど、そんなかっこいい事はまだ言えないです(笑)

 

ー最後に、大人の島留学は「中長期お試し移住制度」ですが、今のところ島での仕事や暮らしはどうですか?
刑部:今は満足度高いです。でも、これから仕事で壁にぶつかりそうなことが出てくると思うので、これからが難しいだろうなと思っています。地域通貨を地域のみなさんに広める実践の段階に入ったときに、地域の方に新たに関心を持っていただくための活動が大変になっていくと思います。そのために、地域通貨がみんなにとって良いものという説明ができるようにならないといけないですし、しっかりした自分の考え方や何を言われてもブレない軸を持つことに向き合わないといけないと考えています。

 

4.おわりに

 

 「地域通貨の謎を解き明かしたい」という探究心が、今の仕事やその環境に大きく関係していると感じ、とても興味深かったです。刑部さんが大人の島留学で想定していた「実践の場」を超え、様々な経験が彼女の自信へと変化、蓄積されているのがお話から垣間見えたのではないでしょうか。
 刑部さん、貴重なお時間と素敵なお話、どうもありがとうございました。

 

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